ダイエット方法

脂質で太るは嘘!「良質な脂質」で効果的にやせるダイエットのやり方

脂質で太るは嘘!「良質な脂質」で効果的にやせるダイエットのやり方

こんな疑問にお答えします

「脂質は太るイメージがあるけど、やっぱり脂質制限したほうが痩せる?」

「脂質は大切って聞いたこともあるけど、どんな種類の脂質がダイエットに効果的?」

「良い脂質がとれる『おすすめ食材』や『脂質の1日の摂取量』が知りたい」

「脂質はカロリーが高いので、減らすべき」と一昔前は考えられていました。

しかし近年では、脂質には「良質な脂質」と「悪い脂質」があって、「良質な脂質」はダイエットに不可欠であることがわかっています。

栄養学の世界的権威であるハーバード大学公衆衛生大学院のウォルター・ウィレット教授は、『脂質は肥満の主要原因か?いや、そうではない』と題する論文で、次のように述べています。

西洋諸国で太りすぎの人が多いのは、脂質の多い食事が原因ではない。総摂取カロリーから、脂質の割合を減らしても、何もよいことはなく、むしろ肥満問題が加速するだけだ肥満や健康のために、脂質を減らすことは、無駄な努力である

(引用:Dietary fat plays a major role in obesity: no

注意が必要なのは、「脂質制限でも一時的に体重は減る」ということです。これは、どんなダイエットにでも言えることで、摂取カロリーが減れば体重は減ります。

しかし、長い目でみれば、脂質制限ダイエットは効果的といえず、デメリットが多いです。

実際、私がダイエットの相談を受けたなかで、「脂質制限で一時的に体重が減ったが、ある時点で体重が落ちなくなった。リバウンドしてしまった。」という方は多いです。

この記事では、「ダイエットに効果的な脂質のとり方」について、ひととおり理解できるように、総合的に解説しました。

良質な脂質を正しくとれば、体重は落ちやすくなります。また、脂質は食欲を満たす働きが強いので、ダイエットがラクになって、続けやすくなります

この機会にぜひ「脂質の正しい食べ方」を身につけて、ダイエット成功に役立ててください。

この記事を書いた人

せいじ(山崎政次)

せいじ

パーソナルトレーナー/ウェブメディア「ダイエットまっぷ」監修・執筆者/ダイエットコーチング「KeepS」運営/学生時代にスポーツ医科学を専攻し、アスレチック・フィットネストレーナーとして経験を積む。その後、留学などを経て独立/科学にもとづいたダイエット指導が強み/大阪生まれの30代/健康オタク

ダイエットに脂質が必要な理由

脂質は太るというイメージがありますが、それは正しくありません。まずは、脂質がダイエットに必要な理由を見ていきます。

脂質制限ダイエットは長期的に効果があるとはいえない

脂質制限ダイエットについては、たくさんの実証研究があります。

それらの実証研究を総合して言えるのは、「脂質制限ダイエットは、他のダイエット方法と比べて、長期的に体重減少に有効とは言えない」ということです。

有名な研究論文を1つご紹介します。

論文

2015年にハーバード大学の研究者たちによって報告された論文です。

「低脂質ダイエットの効果」について、「信頼性の高い53本の論文」をまとめて分析*しました。それぞれの研究は1年以上の期間のもので、対象人数は合計で68,128名になりました。
(*科学研究のなかで、もっとも信頼性の高いとされる研究方法。)

結果は次のとおりでした。

  • 低炭水化物ダイエットと低脂質ダイエットを比較した18個の研究では、低炭水化物(糖質)ダイエットの方が1年で平均1.15kg高い体重減少の効果が確認された
  • また、19個の研究では、「低脂質ダイエット」と「他の中程度以上の脂質をとるダイエット」を比べて、体重減少に違いは確認されなかった
  • ただし、8個の研究では、通常の食生活と比較すると、低脂質ダイエットは5.4kg減量することが確認された(*どのようなダイエットでも、総摂取カロリーが減れば、短期的には体重が減る)

研究者たちは、「低脂質ダイエットは、他のダイエットと比べて、長期的に体重減少に有効とは言えない」と結論づけています。

(根拠論文:Effect of low-fat diet interventions versus other diet interventions on long-term weight change in adults: a systematic review and meta-analysis

この論文は、規模が大きく、決定的な論文とされています。

こちらは別の論文です。

論文

世界5大医学雑誌の1つ『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』で2008年に報告された論文です。322名の中程度肥満の方を対象に、2年間にわたった調査しました。

対象は次の3つの食事グループにわけられました。

  • 低脂質食(カロリー制限あり)
  • 地中海食(カロリー制限あり):野菜、生の赤身肉、鶏肉、魚、オリーブオイル、ナッツなど
  • 低炭水化物食(カロリー制限なし)

結果は、低炭水化物食(糖質)が平均−4.7kgでもっとも高いダイエット効果でした。しかも、カロリー制限なしにもかかわらずです。

次いで、地中海食が平均−4.4kgです。地中海食では脂質をたっぷりとります。

一方で、低脂質食(カロリー制限あり)は平均−2.9kgでもっとも低いダイエット効果でした。

(根拠論文:Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet

注目すべきは、脂質をたくさんとる地中海食で、体重がしっかり落ちている点です。

これら実証研究が示すように、長い目でみれば、脂質制限ダイエットはおすすめできません。

ではなぜ、脂質制限ダイエットはそれほど効果的ではないのでしょうか?

理由は次の3つです。

  • 脂質を減らすと炭水化物(糖質)の摂取量が増えやすくなる
  • 脂質を減らすと食欲が満たされにくくなる
  • 脂質はそもそもカラダに必要不可欠

それぞれ解説していきます。

脂質を減らすと炭水化物(糖質)の摂取量が増えやすくなる

脂質制限のデメリットの1つは、「脂質を減らした分、炭水化物(糖質)の摂取量が増えやすくなる」ことです。

炭水化物(糖質)は食べすぎると、血糖値を急激にあげて、太りやすくなります。次のようなメカニズムのためです。

炭水化物(糖質)のとりすぎ → 血糖値が急に上がる → インスリンが分泌(すい臓) → 血糖(ブドウ糖)がカラダに取り込まれる → 血糖値が下がる → 余ったブドウ糖が体脂肪になる

(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット インスリン

(このため、「インスリン」というホルモンは、別名で「肥満ホルモン」と呼ばれることがあります。)

また、血糖値の急激に上がることで、空腹になりやすく、よけいな摂取カロリーが増えてしまいます。

炭水化物(糖質)のとりすぎ → 血糖値が急に上がる → 血糖値が急に下がる → カラダはエネルギー不足と感じる → 空腹になる → 摂取カロリーが増える

とくに砂糖や白い炭水化物などの、加工された炭水化物(糖質)は、体内ですぐに消化吸収されるので、血糖値を上げやすいです。

論文

実際、「生活習慣と体重の増加」について、120,877名の米国人を対象に、10〜20年を追いかけた研究では、次の事実が確認されています。

  • 砂糖の多いジュース、精製された穀物(白い炭水化物)、ポテトチップス、じゃがいもは、体重増加と強い関係がある
  • 逆に、野菜、茶色い炭水化物、果物、ナッツ、ヨーグルトは、体重減少と関係がある

(根拠論文:Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men

一方で、重要な事実として、脂質は血糖値をほとんど上げません

さらに脂質は、血糖値をほとんど上げないだけでなく、炭水化物(糖質)と一緒にとることで、血糖値の上昇をおさえてくれることがわかっています。

ヨーロッパの医学雑誌『European Journal of Clinical Nutrition』に掲載された研究では、「糖質と一緒にオリーブオイルやコーンオイル、バターを食べると、血糖値の上昇が抑えられる」ことが報告されています。(根拠論文:Differential effect of unsaturated oils and butter on blood glucose and insulin response to carbohydrate in normal volunteers

このように、脂質制限は、炭水化物(糖質)によるデメリットをうけやすくなります。

脂質を減らすと食欲が満たされない

脂質は、お腹のなかでゆっくりと時間をかけて消化吸収されるため、食欲を満たし、空腹感をおさえる働きがあります。(参考:Specific food structures supress appetite through reduced gastric emptying rate

しかし、脂質を制限すると、食欲が満たされません。お腹が空いて、摂取カロリーが増えやすくなります。

そのうえ、精製された炭水化物(糖質)の摂取量が増えれば、よりいっそうお腹が空くという悪循環にハマります。

逆にいえば、脂質を正しくとれば、空腹になりにくいので、余計なカロリー摂取が減ります。そして、お腹が空きにくいので、ダイエットがラクになります

脂質はそもそもカラダに必要不可欠

ダイエット以前に、脂質はカラダに必須の栄養素です。むやみに制限するべきではありません。

ヒトのカラダは次の4つの成分でできています。

  • 水分 約60%
  • 脂質 約18% (脳、ホルモン、内蔵、体脂肪など)
  • たんぱく質 約15% (筋肉、内蔵、脳、骨、ホルモン、抗体など)
  • ミネラル 約7% (骨など)

(参考:Encyclopedia.com, Composition Of The Body

水分を除けば、カラダのほとんどは「脂質」と「たんぱく質」でできています。

なかでも、「脳は約60%は脂質」です。
(参考:Essential Fatty Acids and Human Brain

また、ヒトのカラダは約47兆個の細胞が集まってできていますが、その「細胞膜の主成分は脂質」です。

さらに、「脂質は脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けます」。脂質が不足すると、これらビタミンが欠乏することがあります。

このように、脂質はそもそもカラダに不可欠なのです。

ここまでのまとめ

脂質制限ダイエットは、他のダイエットと比べて、長期的に体重減少に有効とはいえない

理由は次の3つ。

  • 脂質を減らすと炭水化物(糖質)の摂取量が増えやすい
  • 脂質を減らすと食欲が満たされにくい
  • 脂質はそもそもカラダに必要不可欠

ダイエットにおける「良質な脂質」と「悪い脂質」

ダイエットに脂質は必要ですが、どんな脂質でも良いわけではありません。

ここでは、ダイエットにおける「良質な脂質」と「悪い脂質」を見ていきます。

脂質は、次のように5つに分けられます。

飽和脂肪酸主に動物の油
不飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸オメガ9系脂肪酸主に植物の油
多価不飽和脂肪酸オメガ6系脂肪酸主に植物の油
オメガ3系脂肪酸主に魚の油
トランス脂肪酸人工の油

まず大まかにいえば、ダイエットでとるべき脂質は「不飽和脂肪酸」です。魚や植物の油です。

逆に、「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」は太りやすい油です。動物の油や、人工の油です。

論文

「脂質と体重増加」について、41,518名の女性(41~68歳)を8年間追いかけた、大規模な研究があります。2007年にハーバード大学から報告されました。

結果は次のとおりでした。

  • 総合的な結果では、脂質の摂取を増やすことと体重増加には、ゆるやかな関係が確認された
  • ただし脂質の種類別にみれば、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸では、体重増加と関係が見られなかった
  • 一方で、動物の油・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸では、体重増加と強い関係が見られた

(根拠論文:Dietary fat and weight gain among women in the Nurses' Health Study

より詳しく解説すると、「ダイエットに効果的な脂質のとり方」は、質の良い順に次のとおりです。

  • 不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸 → 積極的にとる
  • 不飽和脂肪酸:オメガ9系脂肪酸 → 適切にとる
  • 不飽和脂肪酸:オメガ6系脂肪酸 → 控えめに
  • 飽和脂肪酸 → 控えめに
  • トランス脂肪酸 → できるだけ避ける

それぞれ解説していきます。

多価不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸は積極的にとる

オメガ3系脂肪酸は、次のような食品に含まれます。

  • 青魚(サバ、イワシ、サーモンなど)
  • くるみ
  • えごま油
  • 亜麻仁油 など

多価不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸は「必須脂肪酸」と呼ばれ、体内でつくることができず、必ず食事からとらなければいけません。

オメガ3系脂肪酸には、幅広い健康メリットがあります。なかでも、心疾患の予防・改善への効果があるとされています。(根拠論文:Omega-3 fatty acids: a growing ocean of choices

詳しくは、次のとおりです。

上記のような効果は、メタボリックシンドローム*の改善にもつながります。(根拠論文
(*メタボリックシンドロームは、肥満と強い関係があります。)

また、睡眠不足と肥満には高い関係性があるのですが(根拠論文)、オメガ3系脂肪酸には、睡眠の質を良くするという研究報告があります。(根拠論文1根拠論文2

さらに、まだ決定的とは言えませんが、オメガ3系脂肪酸はメンタルヘルスへの効果があるという研究結果も積み上がっています。(根拠論文

このように、オメガ3系脂肪酸にはたくさんのメリットがあります。ダイエットだけでなく健康のためにも、積極的にとるべき脂質です。

なお、上記のようなメリットが得られるのは、オメガ3系脂肪酸のなかでも、「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」です。

一方で、えごま油や亜麻仁油に含まれるオメガ3系脂肪酸は「ALA(αリノレン酸)」です。ALAは、体内でEPAとDHAに変換されるのですが、その変換率はあまり高くないことがわかっています。(根拠論文:Can adults adequately convert alpha-linolenic acid (18:3n-3) to eicosapentaenoic acid (20:5n-3) and docosahexaenoic acid (22:6n-3)?

なので、オメガ3系脂肪酸は、EPAとDHAが効率的にとれる「青魚」からとることをおすすめします。何らかの理由で青魚が食べれないのであれば、えごま油や亜麻仁油を検討するとよいでしょう。

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)は適切にとる

オメガ9系脂肪酸は、次のような食品に含まれます。

  • オリーブオイル
  • アーモンド
  • アボカド
  • 紅花紬/サンフラワー油
  • 菜種油/キャノーラ油
  • 落花生油 など

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)は、体内でつくることができるので、「必須脂肪酸ではありません」。

とはいえ、一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)を含む食品はダイエットに効果的なので、積極的にとるべきです。

論文

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)では「オレイン酸」が代表です。

「オレイン酸と肥満」について、821本の論文(最近の28件の臨床研究を含む)をまとめて分析した研究があります。2020年に報告されました。

結果では、「オレイン酸を豊富に含む食品には、腹部の脂肪(内臓脂肪)を減らして、体脂肪量や体重を減らす効果がある」ことが確認されています。

(根拠論文:The Effects of Diets Enriched in Monounsaturated Oleic Acid on the Management and Prevention of Obesity: a Systematic Review of Human Intervention Studies

また健康面では、コレステロール値を下げて、心血管疾患のリスクを下げることが研究からわかっています。また、カラダの細胞の生成を助けたり、抗酸化作用の高いビタミンEの吸収を助けてくれます。(参考:American Heart Association, Monounsaturated Fat

このように一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)は適切にとるべき脂質です

多価不飽和脂肪酸:オメガ6系脂肪酸は控えめに

オメガ6系脂肪酸は、次のような食品に含まれます。食用のサラダ油に多いです。

  • 菜種油/キャノーラ油(日本の食用油に多い)
  • 大豆油(日本の食用油に多い)
  • 紅花油/サフラワー油(炒めもの、揚げ物など)
  • ひまわり油(ショートニングなど)
  • コーン油(揚げ物など)
  • 綿実油(マーガリン、マヨネーズなど)
  • グレープシードオイル など

オメガ6系脂肪酸は、不飽和脂肪酸なので基本的にはヘルシーな油です。また、体内では作れない「必須脂肪酸」でもあります。

しかし、オメガ6系脂肪酸のとりすぎは、カラダの炎症を増やし、肥満や心血管疾患などの健康リスクを上げることがわかっています。とくに、オメガ3系脂肪酸との比率が大切で、理想は「オメガ6:オメガ3=1:1~4:1ぐらい」という報告があります。(根拠論点:Health implications of high dietary omega-6 polyunsaturated Fatty acids

人類学や疫学、分子レベルの研究では、人類(ヒト)は「オメガ6:オメガ3=1:1」の食生活で進化してきたことが示されています。(根拠論文:Evolutionary aspects of diet, the omega-6/omega-3 ratio and genetic variation: nutritional implications for chronic diseases

この比率が、ヒトのカラダにとっては自然ということです。

しかし、現代の日本人ではその比率が10:1になっているという報告があります。(参考:NHK 健康には必須脂肪酸「オメガ3」「オメガ6」が重要!油選びのコツ

このように、オメガ6系脂肪酸はすでに取りすぎているので、意識して控えめにすることが大切です。「オメガ6:オメガ3=1:1」を目指すのが理想です。

オメガ6系脂肪酸は、一般的な食用油に多く含まれるので、加熱調理用にはなるべくオリーブオイル*を使うとよいでしょう。(*加熱するときはエキストラバージンではないもの使いましょう。そのほうが、油が酸化しにくいです。)

なお、食用油については、2018年に報告された、2071名の若いオーストラリア人を対象にした研究で、「キャノーラ油、サンフラワー油はメタボリックシンドロームと関連がある」ことが確認されています。(根拠論文:Cross-Sectional Associations between Dietary Fat-Related Behaviors and Continuous Metabolic Syndrome Score among Young Australian Adults

飽和脂肪酸は控えめに

飽和脂肪酸は、次のような食品に含まれます。主に動物の油に多いです。

  • 動物の肉
  • バター
  • ギー
  • ラード
  • 乳製品
  • パームオイル
  • ココナッツオイル など

ダイエットや健康のために、飽和脂肪酸は控えめにするのが望ましいです

飽和脂肪酸を減らすことのメリットについては、次のような研究論文があります。

論文

2020年に英国のノーウィッチメディカルスクールの研究者たちによって報告された研究です。「飽和脂肪酸を減らすことと心血管疾患」について、「信頼性が高い15本の論文」をまとめて分析しました。対象者は合計約59,000名と大規模です。

結果は、ダイエットについては、体重とBMIが少し減少したことが確認されました。

健康については、研究者は「飽和脂肪酸を少なくとも2年以上減らすことは、心血管に問題が起こるのを有意に減らす可能性がある。飽和脂肪酸を「多価不飽和脂肪酸か炭水化物」に置き換えることは有効な戦略といえる。」と結論づけています。

(根拠論文:Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease

このように、飽和脂肪酸を減らせば、痩せやすく、健康的です。

ただし近年では、飽和脂肪酸は「これまで考えられていたよりも悪くはないのではないか?」という見方も出てきています。

ハーバード大学は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を「良い脂質」、トランス脂肪酸を「悪い脂質」としたうえで、飽和脂肪酸は「この2つの間のどこかに位置する」と述べています。(参考:The truth about fats: the good, the bad, and the in-between

飽和脂肪酸は、動物肉やバター、乳製品に含まれるので、日常生活で完全に避けることは難しいです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、摂取カロリーに対して、飽和脂肪酸は7%以下にすることが推奨されています。この数値を守りながら、適度に食べるのが現実的でしょう。(参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準

トランス脂肪酸はできるだけ避ける

トランス脂肪酸とは、簡単にいえば「加工された油」のことです。たとえば、植物や魚の油は常温だと液体ですが、これを常温でも個体になるように加工すると、トランス脂肪酸はできます。

トランス脂肪酸は次のような食品に含まれています。とくにお菓子などの加工食品です。

  • マーガリン
  • ショートニング
  • 菓子パン
  • ビスケット
  • ケーキ
  • 揚げ物
  • ファーストフード

トランス脂肪酸は、ダイエットや健康のために、できるだけ少なくするのが望ましいです。

トランス脂肪酸は健康への悪影響が大きいため、WHOは「トランス脂肪酸を総エネルギー摂取量の1%未満におさえるべき」と提示しています。(参考:World Health Organization, Nutrition: Trans fat

厚生労働省は「総エネルギー摂取量の1%より少ない場合でも、さらに少なくすることが望ましい」としています。(参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準)(参考:農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸

また、WHOは「2023年までに世界の食品供給からトランス脂肪酸を無くす」という活動を行っています。(参考:World Health Organization, REPLACE trans fat

ダイエットに関していえば、トランス脂肪酸は「体重増加と肥満に関係がある」ことが多くの研究で確認されています。(根拠論文1根拠論文2根拠論点3

トランス脂肪酸をとっても何も良いことはありません。できるだけ食べないようにしましょう。マーガリンやショートニングは、市販のパンやお菓子など、思わぬところに含まれているので注意が必要です。

ここまでのまとめ

  • 不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸(主に青魚の油) → 積極的にとる
  • 不飽和脂肪酸:オメガ9系脂肪酸(主に植物の油) → 適切にとる
  • 不飽和脂肪酸:オメガ6系脂肪酸(主にサラダ油) → 控えめに
  • 飽和脂肪酸(主に動物の油) → 控えめに
  • トランス脂肪酸(人工の油) → できるだけ避ける

良質な脂質がとれるダイエットにおすすめの食材5選

それでは、良質な脂質がとれる食材をご紹介します。次の5つです。

  • 青魚
  • エキストラバージン・オリーブオイル
  • ナッツ
  • アボカド
  • グラスフェッドバター

それぞれ解説していきます。

青魚

青魚には、不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。

すでにご説明のとおり、オメガ3系脂肪酸はダイエット・健康において、幅広いメリットがあります。

実際、「魚を食べる人は、そうでない人と比べて健康である」ことは複数の研究で報告されています。(根拠論文:n-3 Fatty acids from fish or fish-oil supplements, but not alpha-linolenic acid, benefit cardiovascular disease outcomes in primary- and secondary-prevention studies: a systematic review

また、魚は、貴重なたんぱく源にもなります。十分な量のたんぱく質はダイエットに不可欠です。

青魚は、1日1匹を食べるのを目標にしましょう。サバ、イワシ、サンマ、サーモンなどがあります。

サバ、イワシ、サンマなどの水煮缶や味噌煮缶はとくに、オメガ3系脂肪酸(EPA、DHA)が豊富なのでおすすめです。通常、100gあたり2g以上のオメガ3系脂肪酸が含まれており、厚生労働省が定める摂取量*をクリアできます。(*後ほど解説します)

エキストラバージンオリーブオイル

エキストラバージン・オリーブオイルがおすすめの理由は、次のとおりです。

  • 一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸:オレイン酸)が豊富
  • オメガ6系脂肪酸(リノール酸)とオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)も少し含まれる
  • 抗酸化作用のあるビタミンE(トコフェノール)、ポリフェノール(オレオカンタール、オレウロペイン)、クロロフィルが含まれる

一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)がダイエットに効果的なのは、すでにご説明のとおりです。

1日大さじ0.5~1杯を目安にとるとよいでしょう。毎食ごとにサラダに小さじ1~2杯かけるなど、何回かに分けてとるのがおすすめです。

(なお、加熱調理には「エキストラバージンではない」ふつうのオリーブオイルを使いましょう。加熱に強く、酸化しにくいです。)

ナッツ

ナッツがおすすめの理由は、次のとおりです。

  • 不飽和脂肪酸を多く含む
  • アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツは一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸:オレイン酸)を多く含む
  • くるみはオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を4:1のバランスで含む
  • ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富

このように不飽和脂肪酸をはじめ、さまざまな栄養素が含まれています。たんぱく源にもなります。

実際、「ナッツを習慣的に食べる人は、そうでない人と比べて健康的で、肥満になりにくい」ことが多くの研究で報告されています。(根拠論文:Long-term associations of nut consumption with body weight and obesity

アーモンドやくるみがはいった、無塩の素焼きミックスナッツがおすすめです。毎日約25g(一握りぐらい)を目安に食べるとよいでしょう。

さらに詳しい「ナッツのダイエット効果」については、こちらの記事を参考にしてみてください。

食べ過ぎても痩せた!?ナッツのダイエット効果と食べ方のコツ
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「ナッツはカロリーが高いから太る」と言われることもあれば、「ナッツを食べ過ぎたけど痩せた」と正反対の話も聞きます。実際のところ、どうなのでしょうか?この記事では、科学的根拠をもとに、ナッツのダイエット効果ついて詳しく解説しました。

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アボカド

アボカドは森のバターとよばれ、ギネスブックに「最も栄養価の高い果物」として登録されています。次のものが含まれます。

  • 一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸:オレイン酸)が豊富
  • 11種類のビタミン、11種類のミネラル、食物繊維を含む
  • 抗酸化作用の高いビタミンEが豊富

一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)のダイエット効果は、上記でご説明のとおりです。

2013年に報告された、17,567名の米国人を対象にした研究では、「アボカドを習慣的に食べる人は、そうでない人と比べて、体重や内臓脂肪が低い傾向にある」ことが確認されています。(根拠論文:Avocado consumption is associated with better diet quality and nutrient intake, and lower metabolic syndrome risk in US adults: results from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2001-2008

栄養価が高く、ダイエットに効果的なうえに、美味しいです。食べない理由が見つかりません。1日1/2個〜1個を目安に食べるとよいでしょう。

グラスフェッドバター

はじめに断っておきますと、バター自体は飽和脂肪酸なので、たくさん取ることは推奨されません

ですが、普段の生活ではバターを食べることは多いと思います。なので、より質の高い選択肢として、グラスフェッドバターをご紹介します。

グラスフェッドバターとは、天然の牧草を食べて育った牛のミルクからつくられたバターのことです。グラス(Grass)=牧草、フェッド(Fed)=与えられて、という意味です。

2015年に、デイブ・アスプリー氏が著書『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』でグラスフェッドバターを紹介したことで、日本でも知名度があがりました。

グラスフェッドバターは、ふつうのバターと比べて、次のような特徴があります。

  • 不飽和脂肪酸の割合が高い
  • オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸が2:1と最適のバランスで含まれている
  • 脂溶性のビタミン(A、D、E、K)、ミネラル(カリウム、リン)が多い
  • 共役リノール酸という脂肪酸が含まれている(脂肪燃焼効果があるとされている)

このように、メリットが多いので、ふつうのバターをよく使っている方は、グラスフェッドバターに置き換えることをおすすめします。

ただし繰り返しですが、バターは飽和脂肪酸なので、取りすぎには注意です。1日大さじ0.5杯ぐらいを目安にしましょう。

ダイエットのための「脂質の1日摂取量」

それでは、ダイエットのための「脂質の1日摂取量」をみていきます。

結論からお伝えすると、厚生労働省が定める基準にしたがって、脂質をとりましょう

厚生労働省は、次のように定めています。(*目標量はカロリー比)

男性
年齢脂質(目標量)飽和脂肪酸(目標量)オメガ6系脂肪酸(目安量)オメガ3系脂肪酸(目安量)
1~2歳

20~30%以下

10%以下4g0.7g
3~5歳6g1.1g
6~7歳8g1.5g
8~9歳
10~11歳10g1.6g
12~14歳11g1.9g
15~17歳8%以下13g2.1g
18~29歳7%以下11g2g
30~49歳10g
50~64歳2.2g
65~74歳9g
75歳以上8g2.1g
女性
年齢脂質(目標量)飽和脂肪酸(目標量)オメガ6系脂肪酸(目安量)オメガ3系脂肪酸(目安量)
1~2歳20~30%以下10%以下4g0.8g
3~5歳6g1g
6~7歳7g1.3g
8~9歳
10~11歳8g1.6g
12~14歳9g
15~17歳8%以下
18~29歳7%以下8g
30~49歳
50~64歳1.9g
65~74歳2g
75歳以上7g1.8g

(引用:厚生労働省 日本人の食事摂取基準

脂質の推奨される摂取量は、カロリー比で20~30%です。そのうえで、飽和脂肪酸の目標量、オメガ6系と3系脂肪酸の目安量も定められています。

仮に、1日の摂取カロリーを1,800kcalとして計算すると、次のとおりです。

計算:脂質の目標量

  • 脂質1g = 9kcal
  • 1,800kcal × 脂質の目標量 20~30% = 360~540kcal
  • 360~540kcal ÷ 9kcal = 40~60g

脂質の目標量は40~60g

計算:飽和脂肪酸の目標量

  • 1,800kcal × 飽和脂肪酸の目標量 7% = 126kcal
  • 129kcal ÷ 9kcal = 14g

飽和脂肪酸の目標量は14g以下

なお、一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)には、定められた摂取量はありません。しかし、すでにご説明のとおり、ダイエットに効果的な脂質です。「脂質の目標量(エネルギー比で20~30%)の範囲のなかで、しっかりとる」ようにしましょう。

トランス脂肪酸については、厚生労働省は「総エネルギー摂取量の1%より少ない場合でも、さらに少なくすることが望ましい」としています。なるべく取らないようにしましょう。

摂取カロリーを推定する方法については『ダイエットに理想のPFCバランス(割合)の計算方法』を参考にしてみてください。

ダイエットには、脂質だけでなくPFCバランスが大切

ダイエットを成功させるためには、脂質だけでなく、たんぱく質と炭水化物(糖質)をあわせた、PFCバランスにも気をつけることが大切です

それぞれ、次の記事をぜひ参考にしてみてください。

ダイエットの成否はPFCバランスで決まる!理想の割合の計算方法
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ダイエットの成否は食事のPFCバランスで決まるといっても過言ではありません。しかし、ダイエットにお悩みの方はPFCバランスが崩れていることが多いです。この記事では「ダイエットに最適なPFCバランス」と「その計算方法」について解説しました。

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糖質制限はゆるくでOK!効果的な炭水化物・糖質ダイエットのやり方
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ダイエットに糖質制限は必ずしも必要ではありません。炭水化物・糖質を食べながらでも十分に痩せることはできますし、糖質制限をやるなら「ゆるく」で十分です。この記事では「糖質制限はゆるくでOKな理由」「適切な摂取量」「おすすめ食材」を解説しました。

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ダイエットにたんぱく質は不可欠ですが、たくさん食べればよいというわけではなく、また何から食べるかは健康に大きく関わります。この記事では、たんぱく質を何から、どれぐらい食べればいいのか、科学的根拠をもとに解説しました。

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まとめ

  • 脂質には「良質な脂質」と「悪い脂質」があり、「良質な脂質」はダイエットに必要
  • 低脂質ダイエットは短期的には痩せるが、長期的には効果があるとはいえない
  • 「多価不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸」と「一価不飽和脂肪酸:オメガ9系脂肪酸」は、積極的にとる
  • 「多価不飽和脂肪酸:オメガ6系脂肪酸」と「飽和脂肪酸」は控えめに
  • トランス脂肪酸」はできるだけ避ける
  • おすすめの食材は5つ:青魚エキストラバージンオリーブオイルナッツアボカドグラスフェッドバター
  • 脂質だけでなくPFCバランスが大切

ダイエットにおいて、脂質は悪者にされがちですが、やみくもに脂質制限をするべきではありません。そもそも、脂質はカラダに不可欠な栄養素です。

「悪い脂質」は減らしながら、「良質な脂質」を推奨される量でしっかりとってください。体重は落ちますし、なにより食事での満足度があがるので、ダイエットがラクになります。

今回は以上です。

あなたのダイエットを強力にサポートする食品・サービスをご紹介

世の中にはたくさんのダイエット商品がありますが、本当に効果があるものは、数少ないです

ここでは、現役トレーナーである筆者が「本当におすすめできる!」と考えるダイエット食品・サービスを厳選してご紹介します。

置き換えダイエットをラクにするなら「ベースブレッド」

ベースブレッドとは?
引用:BASE FOOD 公式サイト

置き換えダイエット」は、うまくやれば、高いダイエット効果が期待できます。

ですが、置き換えダイエットにはデメリットもあって、選ぶ食品を間違えると「味気なくて、お腹も空いて、続けるのがツラい」ということです。たとえば、よく選ばれるのは、こんにゃく麺、サラダチキン、スムージーなど。

そこで、ご紹介したいのが「ベースブレッド」です。

ベースブレッドとは、1食で1日に必要な栄養素の1/3がとれる「完全栄養のパン」のことです全粒粉や大豆など10種類以上の原材料がブレンドされており、おいしいさと高い栄養価の両方が実現されています

ずっしりと食べごたえがあって、食後の満足感が高いので、置き換えダイエットをラクにしてくれます。そして何より、おいしいので、飽きずにダイエットを続けられます

こんにゃく麺、サラダチキンへの置き換えは「もうイヤ」という人にオススメです!

運動したいけど、ジムに行くのはめんどう?それなら自宅で「オンラインフィットネス」

オンラインフィットネスとは?

ジムに通うのは大変ですよね。まず、時間がとられます。

準備して、移動して、ジムで汗を流して、帰ってきて、トータルすると2~3時間はかかります

それから、料金も安くはありません。最近だと密も気になります

そこで、おすすめなのが「オンラインフィットネス」。

オンラインフィットネスなら徒歩0分部屋着・すっぴんでもOK日常のちょっとしたスキマ時間に、自宅でサクッと、人気インストラクターのレッスンが受けられます

ジムに通うのと比べて、料金もかなり安いです。また、人目を気にしなくていいので気楽です。

体型維持のためには、何かしらの運動習慣は不可欠です。

オンラインフィットネスを検討してみてはいかがでしょうか?

自炊を時短して、食べて痩せたいなら「ダイエットの宅配弁当」

ダイエットの宅配弁当とは?

ダイエットのために栄養バランスを考えて自炊をするのは簡単ではないですよね。忙しかったり疲れてたりしてて、自炊ができないときもあります。

でも、コンビニやスーパーのお弁当だと、どうしても高カロリー・高糖質・たんぱく質不足になりがちです。

そこで、おすすめなのが「ダイエットの宅配弁当」。

ダイエットの宅配弁当なら、「低カロリー・低糖質・高たんぱく」のお弁当を、レンジでチンするだけで食べられます。

メニューのバリエーションも豊富で、味もなかなか美味しいです。

自炊の時間を短縮させて、楽にダイエットしたい人にオススメです!


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