「ダイエットにHIIT(ヒット)が良いって聞いたけど、どれくらい効果的?」
「HIIT(ヒット)のやり方を教えてほしい」
「HIIT(ヒット)にデメリットや注意点はある?」
「ダイエットのために運動しなきゃ」とは思うものの、運動する時間をつくるのはなかなか大変ですよね。
そんなときには、HIIT(ヒット)がおすすめです。
HIITとは、短い時間のあいだに集中して、「全力の運動」と「ゆっくりした運動(または休憩)」を交互におこなうトレーニング方法のことです。
より短い時間で、より高い運動効果が得られるというメリットがあります。また、ダイエットにも効果的であることが科学的に実証されています。
忙しくて運動時間がつくれない方や、長時間の運動が苦手な方にとっては、最適なトレーニング方法といえます。
この記事では、HIITのダイエット効果ややり方について、詳しくまとめました。
せいじ
NSCA認定パーソナルトレーナー(国際資格)/ダイエットまっぷ運営・執筆者/オンラインダイエット指導 BeShape 代表/健康運動実践指導者/学生時代にスポーツ医科学を専攻し、有名実業団チームのトレーナーとして経験を積む。その後、留学などを経て独立/大阪生まれの30代/趣味は読書と旅行
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HIITとは?
HIITとは、High-Intensity-Interval-Training(高強度インターバルトレーニング)の略語で、短い時間のあいだに、「高強度の運動」と「低・中強度の運動、または短い休憩」を組み合わせてをおこなうトレーニング方法のことです。
HIITは、他の運動やトレーニング方法と比べて、より短時間で、より高い運動効果が得られるメリットがあります。(参考論文:Is high-intensity interval training a time-efficient exercise strategy to improve health and fitness?、High Intensity Interval Training for Maximizing Health Outcomes)
HIITは、さまざまな種類の運動でおこなうことができます。たとえば、筋トレ、ランニング(スプリント)、エアロバイク、縄跳びなどです。
HIITの運動時間は、運動の種類にもよりますが、5~30分ぐらいが目安です。
HIITには、何か決まったやり方があるわけではなく、運動の種類と、高強度と低・中強度の運動(または短い休憩)の組み合わせによって、さまざまなバリエーションで行うことができます。
たとえば、エアロバイクでHIITをするときは、全速力で30秒間漕いだあと、軽い強度でで2~3分漕いで、これを15~30分間繰り返しておこなう、といった方法があります。
HIITで痩せたダイエット研究
HIITがダイエットに効果的であることは、数多くの研究によって実証されています。
たとえば、次のような実証研究があります。
2019年に「British Journal of Sports Medicine(英国スポーツ医学ジャーナル)」に掲載された研究では、HIITに関する研究論文786個のうち、質の高い36個の研究論文を選び出して、詳しく調べました。
研究対象となったのは、合計で576名の男性と522名の女性です。
HIITと通常のトレーニング(中強度)をそれぞれ、一定期間おこなった人を比べたところ、結果は、両方で体脂肪率(%)の減少が見られたなか、HIITの方が28.5%多く体脂肪量(kg)が減少したことが確認されました。
2017年のニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)による研究では、HIITに関する1,334個の研究論文のうち、質の高い13個の研究論文を選び出して、詳しく調べました。
424名(18~45歳)の過体重または肥満の方が研究対象となり、平均して、週に3回のトレーニングを10週間おこなっていました。
結果は、HIITと通常のトレーニング(中強度)の両方で、体脂肪の減少と、腹囲の減少が確認されました。ただし、HIITの方が、トレーニング時間は最大で40%短いものでした。
したがってこの結果は、HIITの方が、より短い時間で、通常のトレーニングと同レベルの効果が得られることを示しています。
2018年の、HIITに関する39個の研究論文(対象者は合計617名)をまとめて調べた研究でも、HIITをおこなったグループは、体脂肪、腹部の脂肪、内臓脂肪が有意に減少していました。
このように、HIITで効果的に痩せたことが確認された研究は、数多く積み上がっています。
なぜ、HIITはダイエットに効果的なのでしょうか?
理由は、次の4つが考えられます。
- HIITはより多くのカロリーを消費する
- HIITはトレーニング後もエネルギー消費が続く
- HIITで筋肉が増える可能性
- HIITで食欲がおさえられる可能性
それぞれ解説していきます。
痩せる理由①:HIITはより多くのカロリーを消費する
HIITは、他の運動と比べて、より多くのカロリーを消費します。
2015年の研究では、30分間のHIIT、ウエイトトレーニング、ランニングやエアロバイクにおけるカロリー消費量を比べました。
結果は、HIITは、他の運動と比べて、25~30%多くカロリーを消費したことが確認されました。
なおこの研究では、HIITは20秒の全力運動と、40秒の休憩を組み合わせて行いました。つまりこれは、30分間のランニングやエアロバイクと比べて、HIITで実際に運動している時間は3分の1だったということです。
HIITでは、より短い時間で、より多くのカロリーが消費されたということです。
痩せる理由②:HIITはトレーニング後もエネルギー消費が続く
HIITを行うと、トレーニング後も代謝によるエネルギー消費が続くことがわかっています。
2015年のノースカロライナ大学(米国)による研究では、20名の女性を対象に、次の3つの運動をした後の、休息時のエネルギー消費量を比べました。
- HIIT(ランニング)
- ジョギング
- 筋トレ
結果は、HIITの後で、休息時のエネルギー消費量もっとも高くなることが確認されました。
さらに、HIITの後では、炭水化物がメインのエネルギー代謝から、脂質がメインのエネルギー代謝にシフトしていました。
2012年のレスブリッジ大学(カナダ)による研究では、「2分間のHIIT(スプリント)をした後の、24時間のエネルギー代謝」は、「30分間のランニングをした後」と同レベルであったことが確認されています。
このように、HIITはトレーニング後も、一定時間はエネルギー消費が続くので、カロリー消費がよりいっそう増えて、ダイエット効果を高めてくれます。
痩せる理由③:HIITで筋肉が増える可能性
トレーニング初心者の方はとくに、HIITで筋肉が増える可能性があります。
筋肉が増えると、基礎代謝によるエネルギー消費が増えるので、ダイエットの効果が高まります。
2015年の45名の肥満の方を対象にした研究では、週に3回のトレーニングを12週間続けたところ、HIITをおこなったグループでは、体幹と脚部の筋肉量の増加が見られました。
2015年の24名のホッケー選手を対象にした研究では、HIITと通常のトレーニング(中強度)をそれぞれおこなったグループを比べたところ、HIITの方が筋肉量が有意に増加したことが確認されました。
(根拠論文:High-intensity interval training has positive effects on performance in ice hockey players)
このように、HIITで筋肉量の増加が見られた研究がある一方で、活動的な女性を対象にした研究では、有意な筋肉量の増加が見られなかった例もあります。(根拠論文:Creatine Monohydrate Supplementation Does Not Augment Fitness, Performance, or Body Composition Adaptations in Response to Four Weeks of High-Intensity Interval Training in Young Females)
これはHIITに限らず、筋トレでも中級者、上級者になってくると、筋肉量はなかなか増えなくなってきます。HIITで筋肉量が増えるのは、主にトレーニング初心者であると理解しておきましょう。
痩せる理由④:HIITで食欲がおさえられる可能性
運動をするとお腹が空いて、食事の量も増えてしまい、ダイエット効果が薄くなってしまうことがあります。
ですが、HIITをおこなった後では、食欲がおさえられて、余計なカロリー摂取をせずに、効果的にダイエットができる可能性があります。
2019年のチャールズ・スタート大学(オーストラリア)による研究では、11名の中年男性を対象に、朝、昼、夜のそれぞれでHIITをおこなった後の、食欲ホルモンの変化を調べました。
結果は、昼と夜にHIITをおこなった後に、食欲を刺激するホルモンの「グレリン」の量が下がったことが確認されました。
ただし、本人が感じる食欲や、実際の食事量には変化が見られませんでした。
2014年のウエスタンオーストラリア大学による、17名の過体重の男性を対象にした研究では、HIITをしたグループと、通常のトレーニングをしたグループを比べたところ、HIITをしたグループの方が、食事の摂取カロリーが減り、食欲を刺激するホルモンの「グレリン」の量も下がっていたことが確認されています。
(根拠論文:High-intensity intermittent exercise attenuates ad-libitum energy intake)
2017年のラフバラー大学(イギリス)による、9名の健康的な男性を対象にした研究では、強度の高い運動(ランニング)を行ったあとでは、食欲を刺激するホルモンの「グレリン」の量が下がり、本人が感じる食欲も下がったことが確認されています。
(根拠論文:Acute effect of exercise intensity and duration on acylated ghrelin and hunger in men)
ただし、これらの研究は規模が小さく、HIITと食欲の長期的な関係性については、まだ明らかになっていません。
HIITが食欲をおさえることは、現段階としては、あくまで可能性として理解しておきましょう。さらなる研究が期待されるところです。
実際に痩せたHIITのやり方
HIITにはさまざまなやり方があります。ここでは、代表的なHIITの例をいくつかご紹介します。
エアロバイクのHIIT
エアロバイクを全速力で30秒間漕いだあと、楽なペースで2~4分間漕ぎます。この繰り返しを15~30分間おこないます。
エアロバイクは、難しいスキルがいらないので、初心者におすすめの方法です。
ランニングのHIIT
全速力で15秒間のスプリントをおこなったあと、1~2分間のウォーキングまたは軽いジョギングをおこないます。この繰り返しを10~20分間おこないます。
普段、ジョギングの習慣がある方にとっては、取り組みやすい方法です。
筋トレのHIIT(タバタ式トレーニング)
自重でおこなえる筋トレを、全力で20秒間おこなったあと、10秒間休憩します。これを8セット(4分間)繰り返します。
1種類の筋トレだけで、8セット(4分間)をおこなうのは、かなり負荷が高くてキツいです。トレーニング初心者の方は、2種類または4種類の筋トレを組み合わせておこなうのが良いでしょう。
HIITでよく使われるトレーニングのなかでは、次の4種目から始めてみるのがおすすめです。
- プッシュアップ(腕立て伏せ)
- スクワット
- プランク(腹筋)
- バービージャンプ
また、次の2種目も、HIITではよく使われることが多いです。
- ジャンピングスクワット
- マウンテンクライマー
それぞれ、正しいフォームを身につける必要がありますが、一度フォームを身につけてしまえば、自宅でスキマ時間におこなうことができるので、とても便利なトレーニング方法です。
どのHIITを選べばよいか?
どのHIITを選べばよいかは、個人によって変わります。
カロリー消費量を考えれば、運動強度の高いランニングや、筋力が付くジャンプや筋トレが効果的です。
ですが、1回のカロリー消費量よりも、あなたが楽しんで、習慣として長く続けられることの方がよりいっそう大切です。
ぜひ、あなたのライフスタイルや好みに合った、HIITのやり方を見つけてみてください。
ダイエットでHIITをおこなう頻度
HIITは毎日行う必要はありません。週に2~3回を目安におこないましょう。
また、トレーニング日のあいだには、1〜2日の休憩日をはさんで、カラダや筋肉の疲労を回復させるようにします。
HIITのデメリット・注意点
HIITには、次のようなデメリット・注意点があります。
- 肉体的にも、精神的にもキツい
- ケガに注意が必要
- トレーニング初心者にはむずかしい
トレーニングがキツい
HIITでダイエット効果を得るためには、「全力」に近い強度でトレーニングしなければいけません。
短い時間とはいえ、正直かなりキツいです。
しかし、キツいからといって、手を抜いてしまえば、HIITの効果は下がってしまいます。HIITが短時間で、高い運動効果を得られる背景には、それなりの理由があるということです。
ケガに注意が必要
HIITは、全力に近い強度でトレーニングをおこなうため、カラダに大きな負荷がかかります。なので、ケガには注意が必要です。とくに肩や膝などの関節周りはケガが発生しやすいです。
しっかりウォーミングアップをして、正しいフォームでトレーニングをおこなうように気をつけましょう。
トレーニング初心者にはむずかしい
HIITは、全力に近い強度でトレーニングをおこなうので、初心者にとってはむずかしいトレーニングといえます。
HIITに取り組むまえに、まずはトレーニングの正しいフォームを身に着けることが大切です。そして、いきなり高強度の負荷でトレーニングするのではなく、徐々に負荷を上げて、慣れてから全力の強度でおこなうようにしましょう。
さまざまな種類があるHIITのなかでは、エアロバイクはもっとも取り組みやすいので、トレーニング初心者の方にはおすすめです。
また、トレーニング初心者の方は、「オンラインフィットネス」で正しいフォームを身につけるのもおすすめです。
まとめ:HIITには痩せたダイエット研究が豊富!
HIITとは、「全力の運動」と「軽い運動(または休憩)」を交互に繰り返しておこなうトレーニング方法のことです。
ダイエットに効果的であることが、科学的に実証されています。
HIITの良い点は、何よりも短い時間で、高い効果を得られることです。運動時間をつくるのが難しい方や、運動はサクッと終わらせたい方にぴったりのトレーニング方法といえます。
あなたの運動習慣として、ぜひ、取り入れてみてください。
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