「ナッツはダイエットに効果的?」
「ナッツはいっぱい食べても痩せる?」
「ナッツはどんなふうに食べるのがいい?」
ナッツは美味しいうえに、栄養価が高く、手軽に食べられるので、人気の高い食品です。コンビニやスーパーでも売っていて、好んで食べる方は多いと思います。
ところで、
「ナッツはカロリーが高いから太る」
「いやいや、ナッツは低糖質だからダイエットに効果的」
「ナッツを食べ過ぎたけど痩せた」
このように、正反対の話を聞くことがありますが、実際のところどうなのでしょうか?
この記事では、科学的根拠(実証研究)をもとに、ナッツのダイエット効果について詳しく解説しました。
結論からいえば、ナッツはダイエットに効果的でオススメです。
この記事で、ナッツについての正しい理解を深めて、ぜひ食生活にとりいれてみてください。
せいじ
NSCA認定パーソナルトレーナー(国際資格)/ダイエットまっぷ運営・執筆者/オンラインダイエット指導 BeShape 代表/健康運動実践指導者/学生時代にスポーツ医科学を専攻し、有名実業団チームのトレーナーとして経験を積む。その後、留学などを経て独立/大阪生まれの30代/趣味は読書と旅行
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ナッツとは?
ナッツとは、種実類という「かたい皮や殻に包まれた果実や種子」のうちの「木の実」のことをいいます。
ナッツは、美味しいうえに、多くの栄養素を含み、簡単に食べられるので、とても人気の高い食材です。
人類はすごく昔から、ナッツを食べてきました。たとえば、アーモンドは4,000年以前のヨルダンが原産といわれています。(参考:日本ナッツ協会 ナッツについて)
よく食べらているナッツには、次のような種類があります。
- アーモンド
- クルミ
- カシューナッツ
- ピスタチオ
- マカデミアナッツ
- ヘーゼルナッツ
- ピーカン
なお、ピーナッツは「豆類」のマメ科植物の種子なので、「種実類」のナッツではありません。ですが、形状や栄養素がナッツに似ているので、ピーナッツもナッツの仲間として扱われることが多いです。
ナッツはカロリーが高く、良質な脂質(不飽和脂肪酸)を豊富に含むのが特徴です。
ナッツのダイエット効果
ナッツは体重の増加をおさえてくれる
「ナッツはカロリーが高いので太りやすい」といわれることがありますが、それは正しいとはいえません。
実際、ナッツに関する多くの研究では「ナッツを習慣的に食べることは、体重の増加をおさえる」ことが確認されています。
たとえば、次のような研究があります。
2017年にハーバード大学が複数の実証研究をまとめて、合計500万人以上の米国人を対象にした大規模な研究によれば、「アーモンドを含むナッツ類を食べる人は、体重が増加しにくく、肥満になりにくい」ことが確認されています。
2007年のナバーラ大学(スペイン)による、8,865名の成人男女を28ヶ月間追いかけた大規模な研究では、「ナッツを週2回以上食べる人は、そうでない人と比べて、体重増加のリスクが31%低い」ことが確認されています。
(根拠論文:Nut consumption and weight gain in a Mediterranean cohort: The SUN study)
2013年のスペインの研究機関による、ナッツと肥満に関する「33個の実証研究」をまとめて分析した研究では、次のような結果が確認されています。
- 28個の研究(合計1,806名)を分析した結果、ナッツを食べることと体重増加には関係性がみられなかった
- 14個の研究(合計1,057名)を分析した結果、ナッツを食べてもBMI(肥満の指数)への影響はみられなかった
- 5個の研究(合計681名)を分析した結果、ナッツを食べてもウエストサイズへの影響はみられなかった
(根拠論文:Nut intake and adiposity: meta-analysis of clinical trials)
さらに、ナッツをたくさん食べても、体重増加が見られなかった研究もあります。
2007年のパデュー大学(米国)による研究では、20名の女性を対象に、10週間、アーモンドを食べたい分だけ食べてもらったところ、体重の増加は確認されませんでした。
(根拠論文:Effect of chronic consumption of almonds on body weight in healthy humans)
2002年のロマリンダ大学(米国)による研究では、81名の男女に、6ヶ月のあいだ、アーモンド320kcalを毎日食べ続けてもらったところ、体重の増加は確認されませんでした。
日本人を対象にした研究では、次のようなものがあります。
九州大学による、クルミの血中コレステロールへの効果を調べた研究です。40名の男女に、クルミを4週間食べてもらったところ、体重の増加は確認されませんでした。
(根拠論文:Serum lipid profiles in Japanese women and men during consumption of walnuts)
このように、ナッツはカロリーが高いからといって、太るわけではありません。むしろ、体重の増加をおさえてくれる、という科学的根拠がたくさんあります。
ナッツで痩せることもある
ナッツは体重の増加をおさえるだけでなく、体重を減らすこともあります。たとえば、次のような実証研究があります。
2011年、ハーバード大学とブリガム&ウィメンズ病院(米国)による、120,877名の米国人を10〜20年を追いかけた大規模な研究では、食習慣と体重について、次のような結果が確認されています。
- 砂糖の多いジュース、精製された穀物(白い炭水化物)、ポテトチップス、じゃがいもを食べる習慣には、体重増加と強い関係がみられた
- 一方で、野菜、茶色い炭水化物、果物、ナッツ、ヨーグルトを食べる習慣には、体重減少と関係がみられた
(根拠論文:Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men)
2003年のシティオブホープ国立医療センター(米国)による研究では、65名の過体重(または肥満)の成人を、次の2つのグループにわけて、24週間後の体重の減り方を調べました。
- アーモンドを食べる低カロリーダイエット
- 炭水化物を食べる低カロリーダイエット
両グループとも、同じ量のカロリー、たんぱく質、脂質(飽和脂肪酸)の食事をしています。
結果は、アーモンドを食べたグループの方が、62%大きく体重とBMIが減り、50%大きくウエストサイズも減り、56%大きく体脂肪も減りました。
(根拠論文:Almonds vs complex carbohydrates in a weight reduction program)
2013年のサンパウロ大学(ブラジル)による研究では、169名を次の2つの食事グループにわけて、1年後の体型を調べました。
- ナッツを含む地中海食
- オリーブオイルを含む地中海食
結果は、ナッツのグループで、ウエストサイズが平均5cm減ったことが確認されました。
このように、ナッツは食べ方次第で、体重を減らせることがあります。
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ナッツがダイエットに効果的な理由
なぜ、ナッツは体重増加をおさえたり、ときに体重を減らしたりしてくれるのでしょうか?
理由として、次の3つのメカニズムが考えられます。
- ナッツで空腹感が減り、余計なカロリー摂取が減る
- ナッツの脂質はすべて吸収されない
- ナッツがカロリー消費と体脂肪の燃焼を増やす可能性
ナッツで空腹感が減り、余計なカロリー摂取が減る
ナッツには、食物繊維と脂質(不飽和脂肪酸)、たんぱく質が含まれています。この3つは、食欲を満たす働きが強いので、お腹を空きにくくしてくれます。
その結果、食事からの摂取カロリーが自然とおさえられるので、体重増加を防いだり、体重減少につながると考えられます。(参考論文:A review of the effects of nuts on appetite, food intake, metabolism, and body weight)
たとえば、次のような実証研究があります。
2013年のサウスオーストラリア大学による、137名を対象にした研究では、「アーモンドを間食として食べると、食欲や空腹感を減らしてくれる」ことが確認されています。
2011年のパデュー大学(米国)による、201名を対象にして研究では、「間食としてピーナッツを食べてもらったところ、食事からのカロリー摂取が自然と減った」ことが確認されています。
食欲や空腹感が減るメカニズムは、次のように、ホルモンの働きのためです。
- たんぱく質:食欲を満たすホルモンである「グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、ペプチドYY(PYY)」の分泌を増やす(参考論文:Contribution of gastroenteropancreatic appetite hormones to protein-induced satiety)
- 脂質:食欲を満たすホルモンである「ペプチドYY(PYY)、コレシストキニン(CCK)」の分泌を増やす(参考論文:Effect of fat saturation on satiety, hormone release, and food intake)
- 食物繊維(水溶液):空腹になるホルモンである「グレリン」の分泌を弱め、食欲を満たすホルモンである「コレシストキニン、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、ペプチドYY(PYY)」の分泌を増やす(参考論文:Fiber intake predicts ghrelin levels in overweight and obese postmenopausal women、参考論文:Gut microbiota fermentation of prebiotics increases satietogenic and incretin gut peptide production with consequences for appetite sensation and glucose response after a meal)
ナッツの脂質はすべて吸収されない
ナッツには食物繊維が豊富です。食物繊維は体内で消化吸収されず、そのまま体外に出ていく、という特徴があります。
じつは、食物繊維のこの特徴によって、ナッツの脂質のすべては消化吸収されずに、一部は体外に出ていくことがわかっています。
複数の研究によれば、「ナッツを食べたあとに、5%~20%以上の脂質が体外に出ていく」ことが確認されています。
(根拠論文:A review of the effects of nuts on appetite, food intake, metabolism, and body weight)
5~20%以上は、それなりに大きな割合といえます。
また、次のような研究もあります。
ピーナッツ食品と脂質の吸収を調べた研究では、「ピーナッツ(加工なし)で17.8%、ピーナッツバターで7%、ピーナッツオイルで4.5%の脂質が吸収されずに体外に出る」ことが確認されています。
(根拠論文:Absorption of whole peanuts, peanut oil, and peanut butter)
ナッツがカロリー消費と体脂肪の燃焼を増やす可能性
いくつかの研究では、ナッツを食べるとカロリー消費が増えることが確認されています。
2009年のルビーラ大学(スペイン)の研究では、29名(18~30歳)を対象に、次の3つのグループにわけて、食事をとってもらいました。
- クルミを含んだ食事
- オリーブオイルを含んだ食事
- 乳製品を含んだ食事
結果は、「クルミのグループは、乳製品のグループと比べて、食後に28%多くカロリーを消費している」ことが確認されました。
2006年のウーロンゴン大学(オーストラリア)による、16名の肥満の方を対象にした研究では、「クルミを含んだ食事では、体脂肪の燃焼を増やす可能性」が示されています。
ただし、これらの研究は規模が小さく、科学的根拠としてまだ十分とはいえません。ナッツがカロリー消費を増やすことは、今のところは可能性として理解しておきましょう。さらなる研究が期待されるところです。
ナッツのデメリット・注意点
ナッツのデメリット・注意点は次の2つです。
- 高カロリー
- 一部の人にはアレルギーの可能性
高カロリー
ナッツがダイエットに効果的なのは、ナッツを食べることで食欲や空腹感が減り、自然と全体のカロリー摂取が少なくなることが理由の1つです。
とはいえ、ナッツ自体は高カロリーです。食事の量を変えずに、ナッツを食べ過ぎれば、当然ながら太ってしまうので注意しましょう。
一部の人にはアレルギーの可能性
一部の人は、ナッツにアレルギーを持っている可能性があります。
食品表示基準では、アレルギー特定原材料の表示義務として「ピーナッツ(落花生)」が定められています。また、表示が推奨されるものとして「カシューナッツ」と「アーモンド」が定められています。(参考:消費者庁 アレルゲンを含む食品に関する表示)
アレルギーの可能性がある方は注意しましょう。
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ダイエットに効果的なナッツの食べ方
ダイエットのためにナッツを食べることはメリットが多いです。ぜひ、取り入れることをおすすめします。
ナッツは種類によって栄養価が違います。何か1種類のナッツに偏って食べるよりは、何種類かのナッツをバランス良く食べることをおすすめします。市販されているミックスナッツ(無塩、素焼き)などが良いでしょう。
ナッツの量は、1日あたり30gを目安に食べましょう。片手の平に乗るぐらいの量です。
ナッツを食べるタイミングは、朝食や昼食の一部として食べるのがおすすめです。昼食と夕食のあいだの間食として食べるのもダメではありませんが、基本的に間食はしない方がダイエット効果は高まります。
また、夕食の一部として食べるのもダメではありませんが、効果的に体重を減らすために、夕食は軽い方が望ましいです。朝食と昼食を(ナッツを含めて)しっかり食べて、夕食は軽めにおさえるという食べ方をおすすめします。
おすすめのナッツは以下の記事で紹介しているので、合わせて参考にしてみてください。
まとめ
科学的根拠が示すところでは、ナッツは体重の増加をおさえてくれて、ときには体重が落とすことができます。
美味しいうえに、ダイエットに効果的。ナッツはメリットが多いです。積極的に食生活にとりいれてみてください!
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