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「ダイエットといえば食事制限」
このようなイメージをお持ちではでしょうか?
たしかに、食事の量を減らせば短期的には痩せるのですが、しかし長期的には、リバウンドする可能性があることが、科学的にわかっています。
です、ダイエットとなると、やみくもに食事の量を減らす人はとても多いです。
もちろん、食べ過ぎをふつうの量に調整することは大切です。ですが、カラダが必要な量以上に、食事を制限してしまうと余計に痩せにくくなります。
この記事では、「食事制限をすると逆にやせなくなる理由」を科学的根拠をもとに解説しました。
ツラい思いをして、無理に食事を減らしても、何も良いことはありません。そもそも不健康で、ダイエットに失敗するだけです。
正しいダイエットの理解のために、この記事がお役に立てばうれしいです。
食事制限ダイエットでは逆に痩せない3つの理由
ダイエットのために、食事制限でカロリーをおさえることは、もちろん大切です。ですが、食事制限をやりすぎると、余計に痩せなくなる可能性があります。理由は次の3つです。
- 食事制限をすると代謝(エネルギー消費)が落ちる
- 食事制限で落ちた代謝は、長期間もとに戻らない可能性がある
- 空腹に耐えられず、もとの食生活に戻ってリバウンドする
それぞれ解説していきます。
食事制限をすると代謝(エネルギー消費)が落ちる
もっとも重要なこととして、食事制限をすると、代謝(エネルギー消費)が落ちます。
代謝とは、簡単にいえば、カラダのなかでおこるエネルギーの動きのことです。エネルギー代謝とも呼ばれ、大きく次の3つがあります。
ヒトのエネルギー代謝(エネルギー消費)の内訳
- 基礎代謝 約60%
- 身体活動 約30%
- 食事誘発性熱産生 約10%
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 身体活動とエネルギー代謝)
なぜ、食事制限で代謝が落ちるのでしょうか?
それは食べるエネルギーが減るので、カラダがエネルギーをなるべく使わないようになるからです。代謝を下げて消費エネルギーを減らし、エネルギーを温存するわけです。
カラダが省エネモードに切り替わるイメージですね。カラダというのは、とてもうまくできています。
代謝が落ちるとき、3つのエネルギー代謝すべてが落ちます。
もっとも大きいのは基礎代謝です。エネルギー消費全体の約60%です。
基礎代謝とは、簡単にいえば、何もせずに生きているだけで消費するエネルギーのことです。たとえば、呼吸、心拍、体温の維持など。
参考までに、基礎代謝のカロリー消費量は、1日で大まかにこれぐらいです。
- 成人女性 約1,200kcal/日
- 成人男性 約1,500kcal/日
また、基礎代謝の内訳は次のとおりです。
- 肝臓 27%
- 脳 19%
- 筋肉 18%
- 腎臓 10%
- 心臓 7%
- その他 19%
(参考:Wikipedia Basal metabolic rate)
基礎代謝が落ちるとき、たとえば内蔵や脳の働きが弱まって、エネルギーがあまり消費されないようになると考えられます。また、エネルギー不足を補うために、筋肉も分解されます。
経験者ならわかりますが、食事制限をやり過ぎると、集中力がなくなって、頭がボーっとします。ひどい場合は、カラダの血のめぐりが悪くなり、寒気を感じます。
基礎代謝が落ちると、身体活動も低下します。つまり、運動しなくなるし、運動してもエネルギーが消費されにくくなります。身体活動は、エネルギー消費全体の約30%を占めます。
また、食事制限をすると、食事誘発性熱産生も落ちます。
食事誘発性熱産生とは、食べものを消化吸収するときに消費するエネルギーのことです。エネルギー消費全体の約10%を占め、意外と多くのエネルギーを消費します。
食べる量を減らすので、食事誘発性熱産生が落ちるのは当然ですね。
このように、食事制限をすると、3つの代謝すべてのエネルギー消費が低下するのです。
実際、2010年のコロンビア大学の研究者による論文では、「食事制限とエネルギー消費の関係」について、食事制限で体重を落とすとエネルギー消費も20~25%低下すると報告しています。
(参考論文:Adaptive thermogenesis in humans)
日本人の1日の総エネルギー消費量は、およそ次のとおりです。(※身体活動レベルが低い成人の場合)
- 女性 1,400〜2,000kcal
- 男性 2,200kcal ±200kcal
仮に2,000kcalで、エネルギー消費が20~25%低下した場合を計算すると、400〜500kcalにもなります。
- 2,000kcal × 20~25% = 400〜500kcal
これだけ代謝が落ちれば、当然のように痩せにくくなります。
もちろん、代謝の落ち方には個人差はありますが、ここまで低下する可能性があることは知っておくべきでしょう。
食事制限で落ちた代謝は、長期間もとに戻らない可能性がある
同じくコロンビア大学の研究者によると、一度低下したエネルギー代謝は長期間もとに戻らないことも報告されています。(参考論文:Adaptive thermogenesis in humans)
また、2008年に『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された論文でも、同じ報告があります。
この研究では、対象者は約5~8週間かけて体重を10%落としました。そして予想のとおり、体重とともにエネルギー消費も減少したのですが、その状態が1年のあいだも続きました。さらに、その後もう1年が経っても、総エネルギー消費量は低いままだったのです。(参考論文:Long-term persistence of adaptive thermogenesis in subjects who have maintained a reduced body weight)
これは、「もし食事制限で代謝が落ちたら、食べて代謝を戻せばいい」という簡単な話ではないということです。長期間、痩せにくい体質になってしまう可能性があるので注意しないといけません。
空腹に耐えられず、もとの食生活に戻ってリバウンドする
食事制限をすると、あたりまえですがお腹が空きます。そして、ほとんどの人は空腹に耐えられず、もとの食生活に戻ってしまいます。
食欲とは、睡眠欲と同じで、ヒトの本能の1つです。本能に抵抗しながら、食事を制限しつづけるなど、けっきょくのところできません。
また、先ほどご説明したように、一度下がった代謝は長期間もとに戻らない可能性があります。
つまり、代謝が下がった状態で、もとの食生活に戻るので、前よりももっと太ってしまうのです。これがリバウンドの正体です。
先ほどご紹介したコロンビア大学の研究者は、「80%以上の人がダイエットでリバウンドするのは代謝の低下が原因の1つである」と論文で述べています。(参考論文:Adaptive thermogenesis in humans)
食事制限でリバウンドすることが確認された、有名な研究を1つご紹介します。
アメリカ国立衛生研究所がおこなった研究で、2006年に『JAMA(米国医師会雑誌)』で報告されました。約5万人の女性(50~79歳)を対象に、約7年間の追跡をおこなった大規模な研究です。
この研究では、対象の女性は次の2グループにわけられました。
- 実験グループ(約40%):低脂質・低カロリーの食事、野菜・果物・穀物を増やす、運動を増やす
- 比較グループ(約60%):いつもと変わらない高脂質・高カロリーの生活。食生活ガイドラインの配布
結果は、実験グループでは最初の1年目に体重が平均約2kg落ちました。しかし、2年目以降は体重がどんどん増えていきました。
一方で、比較グループは1年目から体重が少しづつ増えていきました。
そして、約7年後には、実験グループと比較グループで体重差はほとんど無くなってしまったのです。つまり、実験グループの女性は、約7年前よりもリバウンドしたということです。
このような規模の大きい研究でも確認されており、食事制限でリバウンドする確率はかなり高い、といえます。
結論:食事制限はやりすぎないように
ダイエットのために、カロリーをコントロールすることは大切です。ですが、食事は制限しすぎないように注意しましょう。
食事制限のデメリットを避けながら、効果的にダイエットをする方法として、単に食事の量を減らすのではなく、まずは食事の「質」を上げることをおすすめします。
食事の質を上げるとは、太りやすい食事を減らして、ダイエットに効果的な食事をしっかりとる、ということです。食事の質が良くなれば、自然と摂取カロリーはおさえられて、体重は落ちやすくなります。また、十分に食べるので、代謝が落ちることもありません。
そのような食事方法については、『ダイエットの食事方法ガイドマップ』で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
今回は以上です。
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