「ダイエットサプリは本当に効果があるの?」
「ダイエットサプリの安全性はどうなの?」
「ダイエットサプリの最新の研究結果が知りたい」
「ダイエット サプリ」でGoogle検索すると、サプリメントをおすすめする記事や広告がたくさんヒットします。
こういったサプリメントは本当に効果があるのでしょうか?安全なのでしょうか?
結論からお伝えすると、最新の大規模研究では「ダイエットサプリの効果と安全性については、科学的根拠が不十分である」と報告されています。
ですが、ダイエットサプリメントを販売する側は、その効果について良いことばかりを宣伝するので、世の中には「おすすめサプリ情報」がたくさんあふれています。どれも科学的根が乏しいものばかりなので、気をつけなければいけません。
この記事では、ダイエットサプリについて約1万人(100以上の論文)を調べた、最新の実証研究の結果をご紹介しています。
ダイエットサプリについて正しく理解するための参考になれば幸いです。
せいじ
NSCA認定パーソナルトレーナー(国際資格)/ダイエットまっぷ運営・執筆者/オンラインダイエット指導 BeShape 代表/健康運動実践指導者/学生時代にスポーツ医科学を専攻し、有名実業団チームのトレーナーとして経験を積む。その後、留学などを経て独立/大阪生まれの30代/趣味は読書と旅行
オンラインダイエット指導の相談はこちらから
ダイエットサプリとは?
ダイエットサプリとは、体重減少に効果があることを宣伝するサプリメントのことです。
主に次のようなメカニズムで、体重減少に働きかけるとされています。
- 食欲をおさえる:空腹になりにくくすることで、摂取カロリーを減らす
- 栄養素の吸収をおさえる:たとえば、脂質の吸収をおさえることで、摂取カロリーを減らす
- 体脂肪の燃焼を促進させる:脂質の代謝を促すことで、消費カロリーを増やす
ただし、ダイエットサプリ商品が減量効果を宣伝しているからといって、実際に痩せるとは限りません。
これからご説明するように、最新の研究によれば、「ダイエットサプリの減量効果には科学的根拠が不十分」とする結論がでています。
ダイエットサプリで痩せるは嘘
21年5月におこなわれた欧州肥満学会議(The European Congress on Obesity:ECO)では、「ダイエットサプリメントの減量効果については科学的根拠が不十分」であることが報告されました。
この報告は、シドニー大学のエリカ・ベッセル(Erica Bessell)氏たちによって行われたもので、2つの大規模な研究からなります。
1つは、2020年2月に報告された研究です。
ハーブ系ダイエットサプリメントの効果について、2018年8月までに公表された「信頼性の高い*54個の研究論文」をまとめて分析したものです。4,331名(16歳以上)の肥満または過体重の方が対象です。
(*サプリを飲んだ人とプラセボ(偽物サプリを飲んだ人)を比較した研究)
研究対象になったサプリメントには、次のものが含まれます。
- 緑茶(Green tea)
- ガルシニアカンボジア(Garcinia cambogia)
- マンゴスチン(Mangosteen)
- 白インゲン豆(White kidney bean)
- エフェドラ(マオウ)(ephedra)
- アフリカンマンゴー(African mango)
- イェルバ・マテ(Yerba mate)
- シッサス・クアドラングラリス(Veld grape)
- カンゾウ根(Licorice root)
- 東インドグローブアザミ(East Indian globe thistle)
なお、プラセボ(偽物のサプリを飲んだ人)と比べて、「平均2.5kg以上の体重減少」が確認されれば、医科学的(臨床的)に有意とされます。
(なぜなら、1~2kgぐらいの体重なら様々な理由ですぐに変動するからです。たとえば、汗をかくなど。)
結果は、白インゲン豆サプリメントでのみ、偽物のサプリを飲んだ人と比べて、平均1.61kgの体重減少が確認されました。
しかし、それ以外のサプリメントでは、有意な体重減少は確認されませんでした。
ただし、アフリカンマンゴー、シッサス・クアドラングラリス、東インドグローブアザミ、マンゴスチンの4つを組み合わせたサプリメントでは、有効そうな結果が見られました。しかし、研究の回数が3回以下と少なく、また実験方法の質も高くないため、「この結果の解釈には注意が必要」としています。
研究者たちは「現在のところ、減量のためにハーブ系サプリメントを推奨するには科学的根拠が不十分である」と結論づけています。
もう1つは、2021年5月に報告された研究です。
2019年12月までに公表された「信頼性の高い*67個の研究論文」をまとめて分析したものです。5,194名(16歳以上)の肥満または過体重の方が対象です。
(*サプリを飲んだ人とプラセボ(偽物サプリを飲んだ人)を比較した研究)
研究対象になったサプリメントには、次のものが含まれます。
- キトサン(Chitosan)
- グルコマンナン(Glucomannan)
- フルクタン(Fructans)
- 共役リノール酸(Conjugated linoleic acid)
プラセボ(偽物サプリを飲んだ人)と比べて、次のような結果が確認されました。
- キトサン 平均−1.84kg
- グルコマンナン 平均−1.27kg
- 共役リノール酸 平均-1.08kg
このように、医科学的に有意とされる体重減少(−2.5kg以上)は確認されませんでした。
なお、変性セルロースやブラッドオレンジジュース抽出物など、いくつかの物質では、有効そうな結果が見られた研究もありましたが、一度しか実験研究がおこなわれておらず、科学的根拠(エビデンス)としては不十分としています。
研究者たちは次のように結論づけています。
「現在のところ、ダイエットサプリメントを推奨するための科学的根拠は不十分といえます。ただし、いくつかの天然成分由来のダイエットサプリメントについては、その効果と安全性について、さらなる調査が求められます。」
さらに、別の総合的な研究でも、ダイエットサプリでは痩せないことが示されています。
21年6月、ノースカロライナ大学医学部のジョン・バトシス(John Batsis)氏は、ダイエットサプリメントの効果を調べた「315個の実証研究」をまとめて調査しました。
調査対象になったサプリメントは、次のとおりです。
- カルシウム、ビタミンD
- キトサン(Chitosan)
- チョコレート(ココア)
- クロム(Chromium)
- エフェドラ/マオウ(Ephedra)or カフェイン
- ガルシニア(Garcinia) or ヒドロキシクエン酸(Hydroxycitrate)
- 緑茶(Green tea)
- グアーガム (Guar Gum)
- 共役リノール酸(Conjugated linoleic acid)
- インゲンマメ(Phaseolus)
- フェニルプロピルアミン(Phenylpropylamine)
- ピルビン酸(Pyruvate)
結果は、ほとんどの研究で、減量効果は確認されませんでした。
16個の研究でのみ、0.3〜4.93kgの体重減少が見られましたが、体重の減り方にはバラツキがありました。
研究者は、「本研究では、ダイエットサプリメントの効果について、どのようなものにおいても、質の高い科学的根拠は確認されなかった」と結論づけています。
また、「ダイエットサプリメントについての質の高い科学的根拠は限られている。ダイエットサプリメントを使用する前に、その効果についての科学的根拠を確認するべきである」と述べています。
(根拠論文:A Systematic Review of Dietary Supplements and Alternative Therapies for Weight Loss)
これだけの大規模な研究が示している結果です。現状では、ダイエットサプリメントをおすすめできる根拠はありません。
本当に痩せるダイエットサプリはない。効果と安全性にはさらなる研究が必要
上記の研究を実施したシドニー大学のエリカ・ベッセル氏は、次のように、ダイエットサプリの問題点を指摘しています。
「ダイエットサプリメントは、体重の問題に対して、すぐに効果が出る解決策のように見えます。しかし、ダイエットサプリメントについては多くのことがわかっていません。私たちはそのことを認識しておかなければいけません。」
「質の高いダイエットサプリメントの研究はとても少なく、長期的な効果についてのデータも乏しいです。また、多くの研究では、規模は小さく、研究の質も悪く、いくつかの研究ではサプリメントの構成物質すらきちんと報告されていません。」
「ダイエットサプリメント業界は急成長しており、商品は人気ですが、『ダイエットサプリメントの効果と安全性については、さらに多くの研究が急いで必要である』ということを、業界は甘く考えています。」
(引用:Complementary medicines for weight loss not justified, study suggests)
また、アメリカ国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health)は、ダイエットサプリの効果と安全性について、ウェブサイトで次のように注意喚起をしています。
「アサイーやフーディアなど、急激な減量を目的に販売されるサプリメントの大部分は長期の体重管理に効果はありません。また、重大な安全性の懸念があるものもあります。
緑茶抽出物、漢方薬、ダイダイ抽出物などの、さまざまなダイエットサプリメントの効果について研究者は調査をしましたが、どれも体重減少に効果はなく、またそれぞれに副作用がありました。」
科学的根拠がある「本当に痩せるダイエットサプリ」というものはありません。また効果だけでなく、安全性についても明らかになっていない以上は、ダイエットサプリメントの使用は止めておくことをおすすめします。
ダイエットサプリで痩せない・失敗する人は増えている
日本では、ダイエットサプリに騙されて失敗する人は、年々増えています。
日本経済新聞によれば、消費生活センターや政府機関によせられるダイエット食品やサプリに関する相談は、2019年度は過去最多の2,011件に上りました。また、20年度の相談数は、19年度を上回るペースとのことです。(参考:日本経済新聞 2021年1月6日)
また、独立行政法人の国民生活センターによれば、健康食品の危害に関する相談件数は、2020年度で3,530件に上っています。このなかには、ダイエットサプリに関する相談も含まれています。(参考:独立行政法人国民生活センター)
このように、効果が無いだけでなく、安全性にも問題があるダイエットサプリは世の中にたくさんあります。安易に手を出さないように、注意しなくてはいけません。
ダイエットサプリで痩せるための根本問題は解決されない
仮にダイエットサプリに効果があったとしても、それでダイエットの根本的な問題が解決されるわけではありません。
ダイエットの根本的な問題とは「食生活と運動習慣」です。これらを改善しないことに、ダイエットの成功はありえません。
ダイエットサプリに頼ってしまうと、このような根本問題はずっと放置されたままになってしまいます。
ダイエットサプリのような手軽な解決策に手を伸ばしたくなる気持ちもわかりますが、それに期待することは止めましょう。
食生活と運動習慣を変えることにエネルギーを使うのが健全です。
ダイエットサプリではなく食事管理がダイエットに効果的
食事管理と運動はどちらも大切ですが、どちらかといえば、食事管理をするほうがダイエット効果が高いことがわかっています。(参考論文:Impact of long-term lifestyle programmes on weight loss and cardiovascular risk factors in overweight/obese participants: a systematic review and network meta-analysis)
なので、まずは食生活の改善から始めることをおすすめします。
具体的には、次のように食事を改善してみてください。
- たんぱく質を十分にとる(豆類や魚を中心に)
- 砂糖をなるべく減らす(菓子類など)
- 質の良い炭水化物をとる(玄米や全粒粉パンなど)
- 悪い脂質を減らす(菓子類や加工食品など)
- 良い脂質をとる(青魚、オリーブオイル、ナッツなど)
- 食物繊維を十分にとる(野菜や果物)
- インターミッテントファスティングをする(食事の時間をコントロールする)
自分一人では、やり方がわからない、続かないという方は、当サイトの管理人がオンラインでのダイエットサポートをさせていただけます。
オンラインダイエット指導
当サイトを監修するパーソナルトレーナーのせいじは、オンラインでの食事指導をおこなっております。
こんなお悩みをお持ちの方へ
- ダイエットはいつも3日坊主
- お菓子をどうしてもやめられず、罪悪感を感じながら食べてしまう
- 運動したり食事抜いたりしてるのに、なかなか痩せない
プロのトレーナーが、「3食しっかり食べて」「無理なく長期的に痩せ続ける」ための食事方法を指導させていただきます。
ダイエット指導の特徴
- 完全オーダーメイドだから長く続けられる
- 国際資格を持つパーソナルトレーナーが監修
- ジムに通う必要はなし。運動は自分のペースでOK
無料カウンセリングを行っていますので、まずはご相談ください。
まとめ:ダイエットサプリで痩せるは嘘
- ダイエットサプリの減量効果については科学的根拠が不十分
- ダイエットサプリは安全性についても懸念がある
- ダイエットサプリによる被害は年々増えている
- ダイエットサプリで根本的な問題は解決されない
- 食生活と運動習慣を変えることが大切
ダイエットサプリメントの広告を見ると、どうしても「効果がありそう」と思ってしまいます。しかし、そのような情報に触れたときは「根拠はあるのか?科学研究で実証されている?」と問いかけることが大切です。
そして、今回ご紹介したように、現在のところ、ダイエットサプリメントの効果と安全性の科学的根拠は不十分です。
ダイエットサプリメントに頼るのではなく、食生活と運動習慣を変えることにエネルギーを使って、健全なダイエットをしていきましょう。
コメント